猫の飼い主様へ
飼育環境について
ねこちゃんの飼育環境を整えることは、ストレスを与えない健康な生活を送るためにとても大切な事です。
飲水のお話
ねこちゃんは泌尿器に関する病気がとても多いため、いつでも新鮮なお水を飲めるようにして下さい。必要とするお水が十分に飲めないため膀胱に結石が出来たり、腎臓に関する病気が起こりやすくなります。そのため、陶器の食器を好む場合は使用したり、老齢猫の場合、高さのある水飲みの食器を選ぶなどの工夫をしてあげましょう。
食事のお話
食事については、様々なメーカーからドライフードやモイストフードが販売されています。
しかし、一部のメーカーのものには、ねこちゃんの健康を維持する食事内容として、適正でないものもみられます。嗜好性が高く、よく食べるのですが、将来的に成人病疾患の発症リスクが高くなる食事もみられるため、信頼出来るメーカーの猫用フードを与えて下さい。
また、1日3回といったきっちりとした食事管理は難しいかもしれません。しかし、ねこちゃんが食べたい時に食べるだけといった与え方は避け、適正量を給餌しましょう。食べずに残した食事はそのままにせず、引き上げて下さい。
トイレのお話
ねこちゃんが好む猫砂を用意しましょう。ただ、仔猫の場合は猫砂を食べてしまうことがあるので、万が一食べてしまっても消化出来るものを選んで、清潔にしましょう。
トイレをする場所が落ち着かない、物音がする、汚れているなどのことがあれば排泄行為を嫌がります。
そんな時には、トイレ以外の場所で排泄したり、トイレそのものを我慢してしまって膀胱炎などになってしまう事もあります。
他頭飼育の場合は、1人に1つのトイレを用意して下さい。
行動特性のお話
もともとねこちゃんは、樹上での生活も好む動物です。そのため、普段の生活の中で高さがあり、上下運動が出来ることを好みます。
少し高さのある場所で、ゆっくり落ち着いて外を眺めれる場所があれば、ストレスが軽減できます。
若いうちは沢山遊びたい時期です。なるべく運動要求を満たすため、ねこちゃんとおもちゃで遊んだりするなど、コミュニケーションの機会をつくって下さい。
予防について
フィラリア予防
猫のフィラリア症について
フィラリア症は、フィラリアと呼ばれる寄生虫が蚊を媒介して、猫ちゃんの肺動脈や心臓に感染する病気です。
フィラリアというとわんちゃんの病気と思われがちですが、実は猫ちゃんも感染します。
フィラリアは蚊を媒介するため、外出する猫ちゃんはもちろんですが、室内飼いの猫ちゃんも感染するリスクがあります。
最近感染の報告も増えており、10頭に1頭が感染しているとの報告もあります。
出典:佐伯英治:Clinic Note No.55:34,2010
奈良県内でも症例が発生(出典;ゾエティスジャパン)しており、発症してしまうと死亡することもある、非常にこわい病気です。
室内飼育の猫ちゃんは大丈夫?
フィラリア症に感染した猫ちゃんを調べてみると、実は約4割の猫ちゃんは、室内飼育であったことが判りました。
人の出入りや換気の際に、蚊が室内に入ってきて感染が起こっていました。
予防方法について
予防は月に1回、首筋にお薬をたらすだけなので、ご自宅でも簡単に実施できます。
期間は蚊の発生から1か月以内に予防を始め、蚊を見かけなくなってから1か月後に最終の予防を行います。
フィラリアと同時にノミダニなどの外部寄生虫と一緒に、お腹の中の寄生虫も予防と駆虫を同時に実施することができます。
また体重によって投薬量が異なるため安全性が高く、生後6ヶ月齢以降で使用できます。
ご質問などあればスタッフに相談してみてください。
若い猫に気をつけたい病気について
若い猫で一番多くみられ緊急性のある病気に、「(ひも状)異物摂取」による緊急処置が多い事です。
猫ちゃんの舌の構造上、舌に触れる物はのどの奥まで飲み込まないといけません。そのため吐き出すことができず、紐の切れ端などは全て飲み込むことがあります。
また、食べてはいけない中毒性のある食物として、玉ねぎ・チョコレート・ぶどう・ユリ科植物などがあります。
これらの異物や中毒性のある食物はなるべく近くに置くことを避け、口にする機会を無くすよう注意して下さい。
猫の健康診断(秋健診について)
<今回検査を受ける猫ちゃんのプロフィール>
名前:ムーンくん
種類:雑種猫
性別:去勢済オス
年齢:7歳
病歴:若い時からやや太り気味なため、減量用療法食を継続し、定期的に血液検査を実施していました。
主訴:5歳の時に膵炎を疑う症状のため入院治療もあり、今回の検査では、コレステロールや中性脂肪・早期腎不全(SDMA)の確認もしたいため、詳しく検査を実施しました。
結果報告:今回、総コレステロールが少し高いものの、以前より正常値に近く、炎症反応(SAA)や甲状腺(T4)、早期腎不全(SDMA)も問題がなかったため一安心でした。
体重コントロールの維持と定期的な血液検査をおすすめしました。
猫の「秋健診(9/1~12/20)のご案内」の場合
当院では毎年この時期、外部医療検査機関ご協力のもと、いつもよりお安く健康状態が確認できる健康診断を実施させて頂いております。
血液検査で見えない体調の変化を早めに知ることは、病気の早期発見に繋がります。 ぜひこの機会をご利用ください。
一般健診コース
通常8800円→税込5500円
肝臓・腎臓・コレステロールなど、見た目にわからない、ねこちゃんの健康状態を確認できます。
- 血液検査22項目
- 全身状態チェック
- 歯科検診
シニア健診コース
通常14300円→税込8800円
老齢のねこちゃんにお勧めのコースです。
一般健診コースに加え、甲状腺ホルモン・糖尿病初期の異常、炎症反応の数値が確認できます。
炎症反応は体のどこかに炎症や痛みがあった場合や、骨関節異常の有無なども症状が出る前に知ることができます。
- 血液検査22項目
- 全身状態チェック
- 歯科検診
★ ご希望の飼い主様へ SDMA 税込1650円(オプション項目)
ねこちゃんに多い腎不全を早期発見できる検査です。早めに気が付くことで予防ケアができ、腎不全の進行を遅らせることができます。
※検査数値に影響がでるため、当日の朝はできるだけ絶食状態で、午前中にご来院ください。
ご予約は不要です。
健康診断(秋健診)の流れ
step1 受付
受付で「猫の秋健診」とお伝えください。
ご希望のコースやオプションの希望もお伺いします。
なるべく午前中で、絶食でのご来院をおすすめします。


step2 診療
診察室では、通常通りの診療を行い、体重や全身状態を確認します。
健診以外での気になることがあればお伝えください。
step3 採血、口腔内検診
検査に必要な採血を行った後、最後に口腔内の歯科検診を行います。
血液検査結果は、約5~7日後のご報告になります。


step4 結果報告
血液検査結果が判り次第、お電話にてご連絡させて頂きます。
結果が問題なれば、飼い主様へのご報告のみになります。
問題があれば、ねこちゃんも一緒にご来院いただき診察をして、今後の治療計画をご相談させていただきます。
健康なねこちゃんは、予防注射以外に病院に来院されることも少ないため、年に1回このような健康診断を利用して、病気の早期発見や現状確認をすることをおすすめします。
避妊去勢手術について
まだ幼さの残る若い時期に、全身麻酔をかけて手術をすることは心配もあると思われます。
しかし、避妊去勢手術の最適な時期は、最初の発情が来る前の生後6か月頃が適正時期なので、メリット、デメリットを確認したうえで、ご家族でよく相談をして検討してください。
● ねこちゃん ●


ワクチン接種について
当院では、安全性が高く副反応が少ない「フェロセルCVR」(3種 4950円)を採用しております。
子猫の場合、母親から受け継いだ免疫が弱まる時期に合わせて、生後8週齢からワクチン接種が可能になります。ワクチンプログラムに従って接種を行います。
成猫の場合は、最後のワクチンから1年後に追加接種が必要になります。
また2年目以降時で、ワクチン接種を避けたい場合は抗体価検査を実施し、免疫力が十分にある場合は、1年後に延期できます。
歯の予防について
ねこちゃんは、若い年齢でも歯肉炎や歯が溶けてしまう病気(歯の吸収病巣)が起こる場合があるため、口を気にする、よだれが多く出る等のサインに注意してあげてください。
また、口の中を見る・触ることはとても大事です。
ねこちゃんは歯ブラシは難易度が高いのですが、チャレンジしてみてください。